CKD保存療法

薬物療法

CKDの進行を止めることができる薬物は多数あり、組み合わせて使います。

① 降圧薬

高血圧がある場合に血圧を下げる薬を使用します。蛋白尿が陽性の時には第一選択薬として、表1や表2に示した薬を1剤服用します。血圧が目的の130/80mmHg以下にならない場合には複数剤(時には5-6種類)服用します。

② 利尿薬

利尿薬は高血圧の治療としても使用されます。それは、ナトリウムを尿中に排泄するからです。CKDが進むとナトリウムが体内に蓄積しやすくなります。これが浮腫の原因です。利尿薬は浮腫のある方に投与されます。

③ 高リン血症治療薬

低蛋白食療法を行えば、リンの摂取量は減少しますが、腎機能の低下とともにリン排泄が減少するため、リン吸着剤である炭酸カルシウムを飲んでいただくことになります。

④ 高尿酸血症治療薬

尿酸が8.0mg/dL以上に上昇してくると治療を行います。尿酸の排泄低下が主な原因となりますので、尿酸産生抑制薬を使用します。

⑤ 代謝性アシドーシス治療薬

腎不全では酸の排泄が低下するため、体内に酸が蓄積し、酸血症になります。血清Na値―血清Cl値を引いた値が32より小さいと代謝性アシドーシスがある可能性が高いと思います。このような場合には重曹を飲んでいただきます。

⑥ 脂質異常治療薬

CKDの患者さんには、脂質異常症を合併する方が多くおられます。中性脂肪が高い方が多いです。また、LDLコレステロール高値のかたは、動脈硬化が進むため、治療のためにスタチンという薬を投与します。

⑦ 貧血治療

貧血は息切れ、全身倦怠感の原因となります。貧血を治療することにより、息切れなどの症状が消失し、生活の質(QOL)はよくなり、心臓のサイズは小さくなることが期待できます。貧血の原因として、まず、鉄が十分足りているか調べます。血清鉄が足りているかどうかは鉄を運ぶトランスフェリンがどの程度鉄を結合しているかを、鉄飽和率(TSAT)でみます。TSATが20%以上、またはフェリチン値が100ng/mL以上あることが望ましいです。CKDが進むと鉄が足りていても貧血が進むことがあり、これを腎性貧血といいます。Hb10g/dL以下になるとにはエリスロポエチン製剤(ネスプ、ミルセラ、エポジン、エスポーなど)を使用します。Hbは12g/dL程度に維持します。

⑧ 高K血症治療薬

血清K値は3.5-5.5mEq/Lにあることが必要です。CKDが進むと、高K血症(5mEq/L以上)が起こることがあります。また、降圧薬の中に血清K値が上昇するものがあります。これらを治療する方法は、代謝性アシドーシスを補正する重曹を服用すること、利尿薬(血中のKを尿中に排泄する)を服用すること、イオン交換樹脂を服用することです。イオン交換樹脂には、、カリメート、ケイキサレート、アーガメイトゼリーなどがあります。医師の指示に従って服薬することが必要です。

⑨ 球形吸着炭(活性炭)

腎不全の治療に活性炭というのは不思議に思われるかもしれませんが、活性炭に尿毒素を吸着させて便の中に排泄するものです。腎機能低下を抑制することが報告されています。球形吸着炭はクレメジンといい、球形の活性炭の中に迷路のような細かい穴があいており、消化管の中で腸液や食物と広く接することができるように工夫されています。

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